なつこです!
債務整理には「自己破産」「個人再生」「任意整理」「特定調停」があります。
かながわ総合では「任意整理」を依頼される方がとても多いのですが、一定数「個人再生」の相談も多いです。
わたしのXアカウントでも、個人再生についての質問が多いです。
ということで、今回は個人再生についてまとめました。

借金の支払いに苦しんでいる方の参考になれば幸いです!
個人再生とはどんな手続き?
個人再生は、抱えている住宅ローン以外のすべての借金を総合計して、最大5分の1にする手続き。
借金500万円であれば、借金100万円に。
借金1000万円であれば、借金200万円に。
借金1500万円であれば、借金300万円に。
こんなイメージです。
手続きに含めるものは、住宅ローン以外のすべての借金。
クレジットカード、消費者金融、銀行のローン、消費者金融、ショッピングローン、美容ローン、車ローン、教育ローン、奨学金など…
分割払い・後払い系のものはすべてという認識でオッケーだと思います。
そうなると、住宅ローンも分割払いなわけですが、個人再生においては「住宅ローン特則(正確には住宅資金特別条項)」というものがあり、住宅ローン支払い中のマイホームは残せます。

ただし、住宅ローン支払い中のマイホームすべてが残せるわけではないので、これについては後ほど解説します。
個人再生では、すべての自分名義の借金を手続きする必要があるため、任意整理のように「保証人に迷惑をかけたくないから奨学金は除外したい」「車が引き上げられると生活に困るから、車ローンは除外したい」といった柔軟な対応ができないのがデメリットです。
また、個人再生は、居住地を管轄する裁判所に申し立てをして、裁判所で認められた再生計画に沿って、減額された借金を3年で返済をしていきます。(※裁判所に上申して5年の分割もある)

任意整理は遠方の事務所に依頼している方もいると思いますが、個人再生は裁判所によって運用が違うこともあるため、申立て先の裁判所の運用を深く理解している弁護士先生に依頼すると良いと思います。
以上が個人再生のざっくりとした概要です。
もう少し、内容を深掘りしていきましょう。
個人再生には2種類の手続き方法がある
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者再生」といった2種類の方法があります。
自己破産とかも「同時廃止」と「管財事件」がありますよね。あれと似たようなイメージで、その人の属性によって、どちらかの手続きで進めていきます。
小規模個人再生は債権者の賛成・反対がある
小規模個人再生の大きな特徴は、手続きに含めるカード会社の賛成・反対があります。
- 手続きするカード会社の頭数で半数以上
- 債権額で過半数以上
いずれの条件も満たしていることが必要で、どちらも当てはまっていれば、小規模個人再生が進められるイメージとなります。
…文章にするとわかりづらいですね(´・ω・`)
図解にしてみました。

もっとも、反対をする債権者というのは結構めずらしいみたいです(私自身が立ち会ったわけではなく、あくまでも聞いたレベルの話ですが…)。
また、小規模個人再生は、属性がフリーランス・自営業の方はこちらを選ぶ必要があります。
給与所得者等再生はサラリーマンが対象
もう一つの手続きである「給与所得者等再生」はサラリーマンが対象です。
- 可処分所得(給料ー税金ー社保相当額ー最低限度の生活費)の2年分の返済
個人再生の返済はこれ。
小規模個人再生のように、債権者の賛成・反対が不要です。債権者が反対していようが関係なく手続きを進められるのが、この給与所得者等再生。
ですが、その代わり…というのもアレですが、小規模個人再生と比較すると、やや返済額が大きくなるのがこの給与所得者等再生です。

個人再生は5分の1くらいにまで借金が減るのが特徴ですが、通常は小規模個人再生よりも返済額が増える傾向にあるそうです。

フリーランスや自営業などは、給与所得ではないので、こちらの給与所得者等再生は使えません。
個人再生の支払い期間
個人再生は、「再生計画」に基づいて、原則3年での返済となります。
ただし、特別な事情がある場合は、3年を超えた返済(5年を超えない範囲)が認められます。
個人再生について悩まれてる方が多いのでブログ書く🥺実務はやってないので、本やボスのブログ見て勉強したことをまとめるような感じにはなるんだけど🥺午前中はCFPタックスやるので、午後に書く! pic.twitter.com/mD6vvu0P6c
— なつこ🌻任意整理マニア (@ntk55hensai) September 3, 2025
この本から、ちょっと抜粋してみます↓
- Q再生計画案の弁済期間について3年を気て認められるための「特別の事情」とは、具体的にどのような場合ですか
- A
(省略)具体的には、再生債務者に安定した将来の継続的収入の見込みはあるものの、その収入から再生債務者の生活費、子供の教育費、家族の医療費などを差し引くと、3年間では民事再生法の要求する弁済総額を支払うことが困難な場合などです。
引用:個人再生の手引き|判例タイムズ社
個人再生の返済中に、子どもが大学受験を控えるようになったり、親の介護があったり、なにかと出費が多くなる場合は、認められやすいといえるかもしれません。
ちなみに、特別の事情が認められにくい場合として、以下を挙げています。
- Q(同上)
- A
逆に、「特別の事情」が認められにくい場合としては、例えば、毎月の収入は少ないものの、両親と同居しているため家計費の負担が少なく、予定される分割弁済金額程度の余剰が見込める場合や、毎月の収入からは余裕がなくとも賞与の存在を考慮すれば弁済が可能である場合、家計の支出のうちで調整可能な娯楽費・交際費の支出が多い場合などが挙げ荒られます。
引用:個人再生の手引き|判例タイムズ社
ボーナスが多い、娯楽費や交際費を削れば返せそうである、と客観的に判断される場合は、返済期間の伸長が認められにくいそうです。

いうて、ボーナスだって常に安定して出るとも限らない面はあるけどね。。
まとめると、個人再生の返済は原則3年、認められれば5年までOK。といった形です。
個人再生、資産は残せるけど…「清算価値」に注意!
個人再生は、借金を大幅に減額できるメリットがある手続きです。
しかし、「清算価値」には十分に注意する必要があります。
正しくは「清算価値保証原則」と言って、持っている財産の金額分は借金が減らせないというものになります。
清算価値の対象となるものは、以下のようなものです。
- 預金・貯金
- 退職金見込額
- 貸付金・売掛金
- 積立金(財形貯蓄など)
- 保険解約返戻金
- 有価証券(株など)
- 自動車・バイク(評価額)
- 宝石など高価なもの(評価額)
- 不動産(評価額)
- 相続財産
- 過払金
これらがある場合、その金額分は減額ができません。
個人再生では、自己破産と違い、財産を手元に残すことができます。
けれど、その財産を売ってお金にすれば借金は十分に返済できるんだから、それら財産を手元に残すなら、せめてその財産の価値分の返済は続けなさいよ、って意味なんだと思います。

売れるものは売ってしまっている…という方であれば、あんまり気にすることはないと思います!
個人再生の「住宅ローン特則」について詳しく!
個人再生では「マイホームを残せる手続き」として、大きな特徴があります。
マイホームを残せることができるのは、そのマイホームの住宅ローンを返済していること。
ローンのないマイホーム(不動産)は清算価値の対象
ローンの返済が終わったマイホームは、ただの資産のため、先ほどの清算価値の「不動産」にあたり、評価額分は借金は残る形となります。

ローンのない家を残したい場合は、任意整理であれば確実に残せます。
アンダーローンも清算価値の対象
住宅ローンの残額よりも、マイホームの評価額が高いケースを「アンダーローン」といい、これは清算価値の対象となります。
例えば、住宅ローンは2000万円残っていて、マイホームの査定が3000万円だった。
そうすると、3000万円(家の査定額)ー2000万円(住宅ローン残額)=1000万円となり、
「1000万円の財産がある」という見方をされてしまいます。
個人の借金だと、1000万円届かない人が大半だと思います。もしアンダーローンで自宅評価がローン残額を1000万円上回っていたとしたら…?
清算価値保証原則により、個人再生をしても自宅評価でプラスされている1000万円は支払わなければいけないため、個人再生はほぼ無意味になってしまいます。。

どうしても自宅を残したい場合は任意整理なんだけど、1000万円クラスの借金だと、毎月の返済目安が15〜16万円くらいになってしまうので、これが払えるかどうかが結構重要ポイント…
まとめ
- 個人再生は借金が最大で5分の1に減る手続き
- 「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがあり、小規模個人再生は債権者の賛成・反対がある。給与所得者等再生は賛成・反対はないが、小規模個人再生に比べて借金の減額幅が少ない
- 個人再生は原則3年の返済。認められれば5年までOK
- 財産がある人は、清算価値に注意!持っている財産分は借金が減らせない
- 住宅ローン特則で個人再生をしてもマイホームは守られる。ただし、アンダーローンの場合は清算価値が働く
こんな感じですかね。
また、個人再生は居住地を管轄する裁判所に申し立てるのですが、各裁判所によって運用が異なる部分もあるため、近場の弁護士先生に選ぶのがベスト。
債務整理を検討している方の参考になれば幸いです!
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